2008年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で
256本の作品の中からグランプリをさらったのは、
たった21分の短編作品『大地を叩く女』だった。
ゆうばりで発掘された本作は海外へ渡り、世界最大の短編映画祭
フランス・クレルモンフェラン映画祭で審査員特別賞を受賞。
ロッテルダム映画祭では、異例のオープニング作品に選出されるなど
20カ国以上の映画祭で絶賛を浴びた。
本作で描かれているのは、女性の奥深くに眠る、生命力。
日常のなかで鬱屈した女性が、妄想とともに潜在的な本能へ導かれていく様を、
独創的なユーモアを交え、迫力ある映像と音楽で、ファンタジックに描いた衝撃作。
新鋭女性監督・井上都紀は、本作を機に初長編『不惑のアダージョ』のデビューを果たした。
主人公を演じるのは、ミュージシャンの女性ドラマー・GRACE。
その圧倒的なスケール、力強さは他に類をみず、
誰しもを驚愕の世界へ導いていくだろう。
相手役には俳優の和田聰宏。端正な風貌とともに本作では静かな狂気を開演している。
脇を固めるのは、ミュージシャン長見順、かわいしのぶ、柴草玲。
観る者の五感と本能を掻き立てる、だれも観たことがない、
愛と暴力の「音楽」映画が誕生した。